2022年(第63回)グラミー賞の結果一覧です。 レコード賞と楽曲賞は、ブルーノ・マーズ率いるシルク・ソニックの「リーブ・ザ・ドア・オープン」が獲得。 一方、2年連続でポップグループ賞にノミネートされた韓国BTSは、受賞を逃しました。(アワードウォッチ/河端哲朗)
受賞&ノミネート一覧 ▼
BTS↓ | 2021年→ | 歴代→
部門 | 受賞者 | 詳細 |
---|---|---|
レコード賞 |
シルク・ソニック
「リーブ・ザ・ドア・オープン」 |
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楽曲賞 |
シルク・ソニック
「リーブ・ザ・ドア・オープン」 |
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アルバム賞 |
ジョン・バティステ
「ウィ・アー」 |
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新人賞 | オリビア・ロドリゴ | 詳細▼ |
ポップ・グループ賞 |
ドージャ・キャット ft シザ
「キス・ミー・モア」 (BTS「バター」受賞ならず)
|
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ポップ・ソロ賞 |
オリビア・ロドリゴ
「ドライバーズ・ライセンス」 |
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ポップ・アルバム賞 |
オリビア・ロドリゴ
「サワー」 |
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R&B歌唱賞 |
【同点】シルク・ソニック
「リーブ・ザ・ドア・オープン」 【同点】ジャズミン・サリバン 「ピック・アップ・ユア・フィーリングス」 |
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R&B楽曲賞 |
シルク・ソニック
「リーブ・ザ・ドア・オープン」 |
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R&Bアルバム賞 |
ジャズミン・サリバン
「ホー・テールズ」 |
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ロック演奏・歌唱賞 |
フー・ファイターズ
「メイキング・ア・ファイア」 |
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ロック・アルバム賞 |
フー・ファイターズ
「メディスン・アット・ミッドナイト」 |
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メタル演奏・歌唱賞 |
ドリーム・シアター
「ジ・エイリアン」 |
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ラップ楽曲賞 |
カニエ・ウェスト ft ジェイZ
「ジェイル」 |
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メロディラップ賞 |
カニエ・ウェスト ft ウィークエンド&リル・ベイビー
「ハリケーン」 |
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ラップ・アルバム賞 |
タイラー・ザ・クリエイター
「コール・ミー・イフ・ユー・ゲット・ロスト」 |
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カントリー・グループ賞 |
オズボーン兄弟
「ヤンガー・ミー」 |
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ジャズ楽器アルバム賞 |
ロン・カーター&ジャック・ディジョネット&ゴンサロ・ルバルカバ
「スカイライン」 |
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ジャズ即興ソロ賞 |
チック・コリア
「ハンプティ・ダンプティ(セット2)」 |
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ダンス・レコード賞 |
ルーファス・デュ・ソル
「アライブ」 |
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オーケストラ演奏賞 |
フィラデルフィア管弦楽団
「フローレンス・プライス : 交響曲第1番、3番」 |
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クラシック合唱賞 |
グスターボ・ドゥダメル(指揮者)
『マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」』 【日本人が参加】 |
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クラシック・ソロ歌唱アルバム賞 |
サンゲータ・カウル(歌手)、ヒラ・プリットマン(ソプラノ歌手)
「ミソロジーズ」 【日本人が参加】 |
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音楽ビデオ賞 |
ジョン・バティステ
「フリーダム」 |
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今回のグラミー賞では、主要4部門のノミネート枠が従来の「8」から「10」に増えました。 この措置は、ノミネート発表の前日の11月22日夜に急きょ決定されました。 枠が広がったことで、アルバム賞ノミネート選考の投票数で9、10位だったカニエ・ウェストの「ドンダ」とテイラー・スウィフトの「エバーモア」が滑り込みました。
また、今回の選考から「ノミネート委員会(通称:秘密委員会)」が廃止されました。 秘密委員会は1989年に設置され、1995年から主要4部門の最終選考に関与してきました。 グラミー賞は本来、音楽家で構成されるグラミー協会(レコーディング・アカデミー)の会員投票だけで選ばれるはずが、 実際は投票で選ばれた上位20程度の作品の中から、秘密委員会が最終的なノミネートを決めていました。
秘密委員会の廃止のきっかけになったのは、グラミーの前会長の内部告発でした。2019年に女性として初のグラミー会長に就任したデボラ・ドゥーガン氏は、ノミネートの選考過程がおかしいとして協会内で異議を唱えたところ、他の上層部から猛反撃を受け、2020年に追放されました。
ドゥーガン氏によると、2020年のノミネート投票で上位だったエド・シーランとアリアナ・グランデが、秘密委員会の関与によって外されたといいます。エド・シーランの「パーフェクト」とアリアナ・グランデの「7リングス」はその年を代表する大ヒット曲であり、良作として高い評価を得ていました。
さらに、2021年のグラミー賞では、主要部門の受賞を独占すると予想されていたザ・ウイークエンドが、ノミネートすら全くされないという衝撃的な事件が起きました。 今世紀最大のヒットシングルの一つ「ブラインディング・ライツ」も、アルバム『アフター・アワーズ』も完全に無視されたのです。
ザ・ウイークエンドは「秘密委員会」を猛烈に批判。グラミー賞を今後ボイコットすると表明しました。世論もウイークエンドを支持し、グラミー協会はようやく改革へと動きました。
秘密委員会が廃止されたことで、ノミネートも受賞者も投票だけで決まることになりました。
主要四部門では、ブルーノ・マーズ率いる「シルク・ソニック」のヒット曲「リーブ・ザ・ドア・オープン」がレコード賞と楽曲賞をダブルで獲りました。ブルーノ・マーズは2010年代のグラミー賞において、アデルとともに最強の受賞歴を誇った王者。今回も大衆音楽の黄金期だった1970年代を想起させるノスタルジックな曲でベテランのグラミー会員の心をつかみました。
ブルーノ・マーズのレコード賞受賞は3度目。2016年に「アップタウン・ファンク」、2018年に「24Kマジック」で受賞しています。3回の受賞は、サイモン&ガーファンクルのポール・サイモン(「ミセス・ロビンソン」「明日に架ける橋」「グレイスランド」)に続き史上2人目です。
「リーブ・ザ・ドア・オープン」は、甘くて爽やかなソウル調の歌です。「君のためにドアを開けたままにしておくよ」というラブソング。それはロマンチックな口説き文句であると同時に、コロナ禍で閉塞感を抱える人たちの心を解きほぐす開放的な曲として共感を得ました。シルク・ソニックの最初の作品として2021年3月に発売。米ビルボード1位になりました。
シルク・ソニックは、ブルーノ・マーズ(36歳)と、歌手兼ラッパーのアンダーソン・パーク(36歳)の2人によるR&Bユニットです。 2人は、ブルーノの2017年の欧州ツアーでパークが前座を務めたことをきっかけに意気投合。ツアーの合間に一緒に音楽をつくるようになりました。
アンダーソン・パークはラップ部門やR&B部門で過去3個のグラミー賞を獲得するなど、優れた音楽家として知られていましたが、天才的プロデューサーでもあるブルーノがさらに力を引き出しました。
今回、シルク・ソニックは「R&B歌唱賞」「R&B楽曲賞」も受賞。計4冠に輝きました。第一弾アルバムは2022年11月発売だったため、今回のグラミーの期限に間に合いませんでした。来年の有力候補になりそうです。
アルバム賞は、ジョン・バティステが『We Are』で受賞しました。ジャンル別の部門でも賞をとり、本年度最多となる5冠。
バティステは、ジャズ、R&Bなどを幅広く手がける異才の音楽家。歌手(シンガー・ソングライター)でありピアニストです。35歳。
米南部ニューオーリンズ地区出身。黒人の音楽一家に生まれ、幼少期から才能を発揮。学生時代からピアノ演奏のアルバムを出していました。ニューヨークの名門「ジュリアード音楽院」の仲間とともに結成したバンドが、地上波テレビのコメディ番組のレギュラーバンドとして抜擢され、お茶の間でも有名になりました。
米ピクサー映画「ソウルフル・ワールド」の音楽を担当し、アカデミー賞(2021年)で作曲賞を受賞。今回グラミー賞では最多となる11個のノミネートを獲得し、音楽業界を驚かせました。アルバム賞を獲得した『We Are』は8枚目のスタジオアルバムです。
新人賞は、19歳の歌手オリビア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)が受賞しました。ロドリゴは主要4部門全てでノミネートされました。 このうちレコード賞では、デビュー曲「ドライバーズ・ライセンス」が本命候補と予想されていましたが、シルク・ソニックに敗れました。 一方、ポップ部門では「ポップ・ソロ賞」と「ポップ歌唱アルバム賞」を受賞。3冠となりました。
ロドリゴは自ら作曲・作詞を手掛ける自作歌手(シンガー・ソングライター)です。カリフォルニア州出身のアメリカ人。フィリピン系の父親と欧州系の母親の間に生まれました。 幼稚園で歌唱とピアノを習い始め、小学校で劇団に入団。 10代になるとCMなどに出演するようになりました。 また、このころからテイラー・スウィフトに触発されて作曲・作詞を開始。 16歳でディズニーの配信ドラマ「ハイスクール・ミュージカル」に出演し、一躍、人気者になります。 この中で、自ら作曲・作詞した曲「オール・アイ・ウォント」を披露。 音楽界から注目を集めるようになりました。
2021年1月、ドライバーズ・ライセンス(Drivers License)で歌手としてデビュー。 この曲は、歌詞もサウンドも感傷的でシンプルなのが特徴。 ボーカルとピアノを中心とし、他の楽器音を最低限に絞ったシンプルな構成で、ジャンルとしては「寝室系ポップ」「インディー・ポップ」と位置づけられています。
ドライバーズ・ライセンスは、ロドリゴが私生活で嫌なことが重なり、傷心しているときに書いたそうです。
プロデューサーのダン・ナイグロ(38歳)と共同で仕上げました。運転免許(ドライバーズ・ライセンス)をとり、さっそく住宅街をドライブをしている少女の話。
助手席にいるはずの彼がいない。
道すがら、彼と一緒によく見ていた光景が目に入る。この車で家まで送っていくはずだったのに――。
そんな心象を切々と歌い上げています。
歌詞付き動画(公式)→
ドライバーズ・ライセンスは米ビルボードで初登場1位を獲得。 8週連続トップを維持しました。 デビューシングルとして史上最長の連続1位の記録となりました。 幅広い世代・人種層から「共鳴できる歌」として愛されました。
その後の2021年5月、アルバム『サワー(Sour)』をリリース。 すべての曲をロドリゴが共同または単独で作曲・作詞しました。 ドライバーズ・ライセンスに加えて、2曲目のシングル「デジャブ」、3曲目のシングル「グッド・フォー・ユー(Good 4 U)」も収録。 ポップやオルタナ、ロックなど多彩なジャンル構成になりました。
音楽評論家たちは「Z世代が生んだ傑作」として称賛。 とりわけ率直で勇敢な歌いっぷりが支持を集めました。 米ビルボードのアルバムチャートで初登場1位となり、5週連続トップをキープしました。海外でもメガヒットとなりました。
95歳の歌手トニー・ベネットが、レディー・ガガとのコンビで制作したアルバム『ラブ・フォー・セール』及び収録シングルで、アルバム賞、レコード賞などにノミネートされました。このうち「伝統的ポップ歌唱アルバム賞」で受賞を果たしました。史上2番目の高齢での受賞。
トニー・ベネットは、「思い出のサンフランシスコ」(1962年)などの歴史に残るスタンダード曲で知られる超大物歌手。米国ポピュラー・ソングの伝統を築いてきた偉人であり、故フランク・シナトラと並ぶ別格のシンガーとして崇拝されています。
2016年にアルツハイマー病と診断された後も歌手を続行。病気と闘いながらレディー・ガガと作り上げた『ラブ・フォー・セール』をもって現役を引退しました。
順位 | 受賞数 | 作品名 |
---|---|---|
1位 | 5個 | ジョン・バティステ
動画→ |
2位 | 4個 | シルク・ソニック |
3位 | 3個 | オリビア・ロドリゴ |
フー・ファイターズ | ||
クリス・ステイプルトン |
順位 | ノミネート数 | 作品名 |
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1位 | 11個 | ジョン・バティステ |
2位 | 8個 | ジャスティン・ビーバー |
ドージャ・キャット | ||
H.E.R | ||
5位 | 7個 | ビリー・アイリッシュ |
オリビア・ロドリゴ |
韓国(Kポップ)の男性歌唱グループ「BTS」(防弾少年団)が、大ヒット曲「バター」でポップ・グループ賞にノミネートされましたが、受賞は逃しました。 前年の「ダイナマイト」に続いて、2年連続の同部門でのノミネートでした。
BTSのシングル「Butter(バター)」は、 ダンス系音楽。 BTSにとって「ダイナマイト」に次ぐ2作目の全編英語詞のシングルとして2021年5月に発表されました。全米ビルボードで7週連続1位を獲得するなど、世界的に大ヒット。 キャッチ―でレトロ感のあるディスコ調サマー・ソングであり、ヘビーなベース音とメンバー7人の快(こころよ)いコーラスが特徴です。
BTSが前年に続いてノミネートされたポップグループ賞は、2人以上の歌手または奏者によるポップ系シングルを対象にしています。 正式名称は「Best Pop Duo/Group Performance」。 日本語にすると「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」です。 この「パフォーマンス」とは、 「歌唱(ボーカル)」または「楽器演奏」のことを指します。「ダンス」は含まれません。BTSの場合は、バンドではないので「歌唱」が評価対象となります。 まあ、要するに「ポップ・グループ賞」です。
なお、BTS陣営が本年度のグラミー賞でエントリー申請を行った作品と部門は以下の通りです。「バター」は主要部門であるレコード賞と楽曲賞にもエントリーされましたが、投票の結果、ノミネートには至りませんでした。アルバム『Be』もノミネートを逃しました。
作品 | 申請部門 |
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「バター」 (Butter) ※シングル 動画→ |
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「パーミッション・トゥ・ダンス」
※シングル 動画→ |
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『Be』
※アルバム 動画→ |
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結果発表(授賞式)は、2022年4月4日(月)の昼間(日本時間)に開催されました。
2022年の結果の一覧( 主要4部門、 ポップ、 R&B、 ロック、 ラップ、 カントリー、 ジャズ、 テクノ/EDM、 クラシック、 レゲエ、 ゴスペル、 オルタナ、 民族音楽、 音楽ビデオ賞) | 授賞式の動画 | 選考・授賞式スケジュール | 2023年→ | 2021年の結果→ | ページの先頭へ↑ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
主要4部門、 ポップ、 R&B(ソウル)、 ロック、 メタル、 ラップ、 カントリー、 ジャズ、 テクノ/ダンス、 クラシック、 レゲエ、 癒し系音楽、 ゴスペル、 オルタナ、 民族音楽、 ラテン、 音楽ビデオ賞 、 映画音楽
2022年 主要4部門 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
レコード賞 |
シルク・ソニック (Silk Sonic) 「リーブ・ザ・ドア・オープン」 (Leave the Door Open) 動画→ 動画(和訳)→ 動画(ライブ)→ 配信(Amazon)→ 甘くて爽やかなソウル調の歌。1970年代に流行した都会的なフィラデルフィア・ソウルのサウンドが、郷愁を誘います。 「君のためにドアを開けたままにしておくよ」というメッセージ。それはロマンチックな口説き文句であると同時に、コロナ禍で閉塞感を抱える人たちの心を解きほぐす開放的な曲として共感を得ました。 シルク・ソニックは、グラミー賞常連のブルーノ・マーズ(36歳)と、歌手兼ラッパーのアンダーソン・パーク(36歳)の2人によるR&Bユニット。本作が第一弾のリリースとなりました。 2人は、ブルーノの2017年の欧州ツアーでパークが前座を務めたことをきっかけに意気投合。ツアーの合間に一緒に音楽をつくるようになりました。 アンダーソン・パークはラップ部門やR&B部門で過去3個のグラミー賞を獲得するなど、優れた音楽家として知られていましたが、天才的プロデューサーでもあるブルーノがさらに力を引き出しました。 今回のグラミーでシルク・ソニックはレコード賞、楽曲賞の主要2冠に加えて、R&B歌唱賞、R&B楽曲賞も獲得。計4冠に輝きました。 ブルーノ・マーズは2010年代のグラミー賞において、アデルとともに最強の受賞歴を誇った王者。今回も大衆音楽の黄金期だった1970年代を想起させるノスタルジックな曲でベテランのグラミー会員の心をつかみました。 ブルーノ・マーズのレコード賞受賞は3度目。2016年に「アップタウン・ファンク」、2018年に「24Kマジック」で受賞しています。3回の受賞は、サイモン&ガーファンクルのポール・サイモン(「ミセス・ロビンソン」「明日に架ける橋」「グレイスランド」)に続き史上2人目です。 なお、シルク・ソニックの第一弾アルバムは2022年11月発売だったため、今回のグラミーの期限に間に合いませんでした。 |
※歴代のレコード賞→ 主要4部門の一覧の先頭に戻る↑ |
楽曲賞
※作曲・作詞者が対象 |
シルク・ソニック (Silk Sonic) 「リーブ・ザ・ドア・オープン」 (Leave the Door Open) (作曲・作詞:ブルーノ・マーズ&アンダーソン・パーク&Dマイル&ブロディ・ブラウン) 動画→ 動画(和訳)→ 配信(Amazon)→ <受賞スピーチ> |
※歴代の楽曲賞→ 主要4部門の一覧の先頭に戻る↑ |
アルバム賞 |
ジョン・バティステ
(Jon Batiste) 「ウィ・アー」 (We Are) 動画→ 配信(Amazon)→ ジョン・バティステは、ジャズ、R&Bなどを幅広く手がける異才の音楽家。歌手(シンガー・ソングライター)でありピアニストです。35歳。 米南部ニューオーリンズ地区出身。黒人の音楽一家に生まれ、幼少期から才能を発揮。学生時代からピアノ演奏のアルバムを出していました。 ニューヨークの名門「ジュリアード音楽院」の仲間とともに結成したバンドが、地上波テレビのコメディ番組のレギュラーバンドとして抜擢され、お茶の間でも有名になりました。 米ピクサー映画「ソウルフル・ワールド」の音楽を担当し、アカデミー賞(2021年)で作曲賞を受賞。 今回グラミー賞では最多となる11個のノミネートを獲得し、音楽業界を驚かせました。アルバム賞を獲得した『We Are』は8枚目のスタジオアルバムです。 <受賞スピーチ> |
※歴代のアルバム賞→ 主要4部門の一覧の先頭に戻る↑ |
新人賞 |
オリビア・ロドリゴ (Olivia Rodrigo) 動画→ 動画(和訳)→ 動画→ 19歳の自作歌手(シンガー・ソングライター)。カリフォルニア州出身。 16歳でディズニーの配信ドラマ「ハイスクール・ミュージカル」に俳優として出演。「ドライバーズ・ライセンス」で歌手デビューしました。 ドライバーズ・ライセンスは、運転免許をとり、さっそく住宅街をドライブをしている少女の話。「共鳴できる歌」として世界中で愛されました。 米ビルボードで初登場1位を獲得。8週連続トップを維持しました。デビューシングルとして史上最長の連続1位の記録となりました。 デビューアルバムアルバム『サワー(Sour)』も大ヒット。音楽評論家たちは「Z世代が生んだ傑作」として称賛。とりわけ率直で勇敢な歌いっぷりが支持を集めました。 ロドリゴは主要4部門全てでノミネートされました。大方の事前予想では、レコード賞と楽曲賞で最有力と見られていましたが、ブルーノ・マーズ率いるシルク・ソニックに敗れました。 一方、ポップ部門で「ポップ・ソロ賞」と「ポップ歌唱アルバム賞」を受賞。3冠となりました。 <受賞スピーチ> |
※歴代の新人賞→ 主要4部門の一覧の先頭に戻る↑ |
2022年 ポップ部門 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
ポップ・グループ賞
※シングルが対象 |
ドージャ・キャット ft シザ (Doja Cat ft SZA) 「キス・ミー・モア」 (Kiss Me More) 動画→ 配信(Amazon)→ <受賞スピーチ> |
※歴代のポップ・グループ賞→ ポップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ポップ・ソロ賞
※シングルが対象 |
オリビア・ロドリゴ (Olivia Rodrigo) 「ドライバーズ・ライセンス」 (Drivers License) 動画→ 動画(和訳)→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のポップ・ソロ賞→ ポップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ポップ・アルバム賞 |
オリビア・ロドリゴ (Olivia Rodrigo) 「サワー」 (Sour) 動画→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のポップ・アルバム賞→ ポップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
R&B歌唱賞、R&B楽曲賞、伝統的R&B歌唱賞、R&Bアルバム賞
2022年 R&B部門 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
R&B歌唱賞
※シングルが対象 |
【同点(タイ)で2組受賞】
シルク・ソニック (Silk Sonic) 「リーブ・ザ・ドア・オープン」 (Leave the Door Open) 動画→ 動画(和訳)→ 配信(Amazon)→ ジャズミン・サリバン (Jazmine Sullivan) 「ピック・アップ・ユア・フィーリングス」 (Pick Up Your Feelings) 動画→ |
R&B部門の一覧の先頭に戻る↑ |
R&B楽曲賞
※シングルが対象 |
シルク・ソニック (Silk Sonic) 「リーブ・ザ・ドア・オープン」 (Leave the Door Open) 動画→ 動画(和訳)→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のR&Bソング賞→ R&B部門の一覧の先頭に戻る↑ |
伝統的R&B歌唱賞
※シングルが対象 |
ハー
(H.E.R.) 「ファイト・フォー・ユー」 (Fight For You) 動画→ 配信(Amazon)→ |
R&B部門の一覧の先頭に戻る↑ |
R&Bアルバム賞 |
ジャズミン・サリバン
(Jazmine Sullivan) 「ホー・テールズ」 (Heaux Tales) 動画→ |
※歴代のR&Bアルバム賞→ R&B部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ロック演奏・歌唱賞(パフォーマンス賞)、ロック楽曲賞、ロックアルバム賞、メタル演奏・歌唱賞
2022年 ロック部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
ロック演奏・歌唱賞
※シングルが対象 |
フー・ファイターズ
(Foo Fighters) 「メイキング・ア・ファイア」 (Making a Fire) 動画→ |
※歴代のロック演奏・歌唱賞→ ロック部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ロック楽曲賞 |
フー・ファイターズ
(Foo Fighters) 「ウェイティング・オン・ア・ウォー」 (Waiting on a War) 動画→ |
※歴代のロック楽曲賞→ ロック部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ロック・アルバム賞 |
フー・ファイターズ
(Foo Fighters) 「メディスン・アット・ミッドナイト」 (Medicine at Midnight) 動画→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のロック・アルバム賞→ ロック部門の一覧の先頭に戻る↑ |
メタル演奏・歌唱賞 |
ドリーム・シアター
(Dream Theater) 「ジ・エイリアン」 (The Alien) 動画→ |
※歴代のメタル・パフォーマンス賞→ ロック部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ラップ・パフォーマンス賞、ラップ楽曲賞、メロディラップ賞、ラップ・アルバム賞
2022年 ラップ部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
ラップ・パフォーマンス賞 |
ベイビー・キーム ft ケンドリック・ラマー
(Baby Keem ft Kendrick Lamar) 「ファミリー・タイズ」 (Family Ties) 動画→ |
ラップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ラップ楽曲賞 |
カニエ・ウェスト ft ジェイZ
(Kanye West ft Jay-Z) 「ジェイル」 (Jail) 動画→ |
※歴代のラップ楽曲賞→ ラップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
メロディラップ賞
(旧:ラップと歌のコラボ賞) ※シングルが対象 |
カニエ・ウェスト ft ウィークエンド&リル・ベイビー
(Kanye West ft The Weeknd and Lil Baby) 「ハリケーン」 (Hurricane) 動画→ |
ラップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
ラップ・アルバム賞 |
タイラー・ザ・クリエイター
(Tyler, the Creator) 「コール・ミー・イフ・ユー・ゲット・ロスト」 (Call Me If You Get Lost) 動画→ |
※歴代のラップ・アルバム賞→ ラップ部門の一覧の先頭に戻る↑ |
参考:ラップの名曲ランキング→
カントリー・グループ賞、カントリー・アルバム賞、カントリー楽曲賞
2022年 カントリー部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
カントリー・グループ賞 |
オズボーン兄弟
(Brothers Osborne) 「ヤンガー・ミー」 (Younger Me) 動画→ |
|
カントリー・アルバム賞 |
クリス・ステイプルトン (Chris Stapleton) 「スターティング・オーバー」 (Starting Over) 動画→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のカントリー・アルバム賞→ |
カントリー楽曲賞 |
クリス・ステイプルトン (Chris Stapleton) 「コールド」 (Cold) 動画→ |
ジャズ楽器アルバム賞、ジャズ楽団アルバム賞、ジャズ歌唱アルバム賞、ジャズ即興賞
2022年 ジャズ部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
ジャズ楽器アルバム賞 |
ロン・カーター&ジャック・ディジョネット&ゴンサロ・ルバルカバ
(Ron Carter, Jack DeJohnette & Gonzalo Rubalcaba) 「スカイライン」 (Skyline) 動画→ |
※歴代のジャズ楽器アルバム賞→ |
ジャズ大規模楽団アルバム賞 |
クリスチャン・マクブライド
(Christian McBride Big Band) 「フォー・ジミー・ウェス・アンド・オリバー」 (For Jimmy, Wes and Oliver) 動画→ |
※歴代のジャズ楽団アルバム賞→ |
ジャズ歌唱アルバム賞 |
エスペランサ・スポルディング
(Esperanza Spalding) 「ソングライツ・アポセカリー・ラボ」 (Songwrights Apothecary Lab) 動画→ ※ジャズ・ベーシスト/シンガー |
※歴代のジャズ歌唱アルバム賞→ |
ジャズ即興ソロ賞 |
チック・コリア
(Chick Corea) 「ハンプティ・ダンプティ(セット2)」 (Humpty Dumpty (Set 2)) 動画→ 米国の巨匠ジャズピアニスト、チック・コリア氏は、前年の2021年2月9日に死去した。79歳だった。グラミー賞を27回受賞した。ノミネートは71回に及んだ。 ソロから大編成まで、ストレートなジャズからクラシックやロックとの融合まで、幅広く活動した。 1941年、米国マサチューセッツ州生まれ。6歳のころからピアノを始め、10代にクラシックからジャズに興味が移る。1960年、ニューヨークに移り、マイルス・デイビスのグループなどに参加。 1968年にスタンゲッツグループに参加し初来日。その後はジャズだけでなく、クラシックにも幅を広げた。 1972年、バンド「リターン・トゥ・フォーエバー」を結成し、同名のアルバムを発表。美しい旋律とさわやかなサウンドは、重いフリージャズ全盛だったジャズ界に大反響を呼んだ。並行して、ソロ活動や、ハービー・ハンコックらとのデュオも行う。 1985年にはフュージョングループ「エレクトリック・バンド」を旗揚げ。また、ビブラフォン奏者のゲイリー・バートンとのデュオにも挑んだ。 2008年、東京・日本武道館で上原ひろみ(当時29歳)とコラボレーションコンサート「デュエット」を行った。前年ブルーノート東京のライブで共演。その模様を収録したアルバム「デュエット」は5万枚以上のセールスを記録していた。 「CDを聴いてもらうのと生のコンサートとは違います。CDは一人で聴く、まったく個人的な体験ですが、コンサートはみんなで楽しむもので、だから冗談を飛ばすこともできるのです」と語っていた。 (河端哲朗) |
※歴代のジャズ即興賞→ |
2022年 テクノ/ダンス部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
ダンス・レコード賞
※シングルが対象 |
ルーファス・デュ・ソル
(Rüfüs Du Sol) 「アライブ」 (Alive) 動画→ ※オーストラリア出身の3人組 |
※歴代のダンス・レコード賞→ |
ダンス・電子音楽アルバム賞 |
ブラック・コーヒー
(Black Coffee) 「サブコンシャスリー」 (Subconsciously) 動画→ |
※歴代のテクノ/EDM賞→ |
オーケストラ演奏賞、クラシック合唱賞、クラシック・ソロ歌唱アルバム賞
2022年 クラシック部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
オーケストラ演奏賞 |
フィラデルフィア管弦楽団
(指揮者:ヤニック・ネゼ=セガン) 「フローレンス・プライス : 交響曲第1番、3番」 (Price: Symphonies Nos. 1 & 3) 動画→ |
※歴代のオーケストラ演奏賞→ |
クラシック合唱賞 |
グスターボ・ドゥダメル(指揮者) (Gustavo Dudamel) 『マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」』 (Mahler: Symphony No. 8, 'Symphony Of A Thousand') ※藤村実穂子がメゾソプラノ歌手として参加 動画→ |
|
クラシック・ソロ歌唱アルバム賞 |
サンゲータ・カウル(歌手)、ヒラ・プリットマン(ソプラノ歌手) (Sangeeta Kaur & Hilla Plitmann) 「ミソロジーズ」 (Mythologies) ※松本エルがチェロ奏者として参加 アルバム動画→ アルバムの試聴(Amazon)→ |
2022年 レゲエ部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
レゲエ・アルバム賞 |
ソジャ
(Soja) 「ビューティ・イン・ザ・サイレンス」 (Beauty in the Silence) 動画→ ※アメリカのレゲエ・バンド |
※歴代のレゲエ賞→ |
2022年 癒し系音楽部門 | |
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部門 | 受賞 |
ニューエイジ音楽アルバム賞 |
スチュワート・コープランド(ポリスのドラマー)&リッキー・ケジ(インドの作曲家)
(Stewart Copeland & Ricky Kej) 「ディバイン・タイズ」 (Divine Tides) 動画→ |
2022年 ゴスペル部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
ゴスペル楽曲・歌唱賞 |
シー・シー・ワイナンズ
(CeCe Winans) 「ネバー・ロスト」 (Never Lost) 動画→ |
※歴代のゴスペル賞→ |
現代クリスチャン音楽賞 |
シー・シー・ワイナンズ (CeCe Winans) 「ビリーブ・フォー・イット」 (Believe For It) 動画→ ※歴代のクリスチャン音楽賞→ |
2022年 オルタナ部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
オルタナティブ・アルバム賞 |
セイント・ヴィンセント
(St. Vincent) 「ダディーズ・ホーム」 (Daddy's Home) 動画→ 配信(Amazon)→ |
※歴代のオルタナティブ・アルバム賞→ |
2022年 民族音楽部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
グローバル・ミュージック・アルバム賞 (旧:ワールド・ミュージック・アルバム賞) |
アンジェリーク・キジョー
(Angelique Kidjo) 【西アフリカのベナン】 「マザー・ネイチャー」 (Mother Nature) 動画→ |
※歴代のグローバル・ミュージック・アルバム賞→ |
2022年 ラテン部門 | |
---|---|
部門 | 受賞 |
ラテンポップ・アルバム賞 |
アレックス・キューバ
(Alex Cuba) 「メンド」 (Mendó) アルバム動画→ |
2022年 映像部門 | ||
---|---|---|
部門 | 受賞 | ノミネート |
音楽ビデオ賞 |
ジョン・バティステ
(Jon Batiste) 「フリーダム」 (Freedom) 動画→ |
※歴代の音楽ビデオ賞→ |
2022年 映画音楽部門 | |
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部門 | 受賞 |
映画主題歌・挿入歌賞 |
「オール・アイズ・オン・ミー」
~映画『ボー・バーナムの明けても暮れても巣ごもり』主題歌 (All Eyes on Me) ボー・バーナム (Bo Burnham) 動画→ |
映画サントラ・アルバム賞 |
【同点(タイ)で2組受賞】
映画「クイーンズ・ギャンビット」サントラ カルロス・ラファエル・リベラ 動画→ 映画「ソウルフル・ワールド」サントラ 作曲家:トレント・レズナー(ロックバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」)&アッティカス・ロス&ジョン・バティステ 動画→ |
本年度のグラミー賞で、ビリー・アイリッシュはレコード賞、楽曲賞、アルバム賞の主要3部門にノミネートされました。ポップ部門などをあわせると、計7個のノミネートとなりました。しかし、受賞はゼロでした。
『Happier Than Ever(ハッピアー・ザン・エバー)』はビリー・アイリッシュ(20歳)の2作目のアルバム。衝撃のデビュー・アルバム『ホエン・ウィ・オール・スリープ』から約2年ぶりとなる2021年7月発売されました。全曲をアイリッシュ自身が兄フィニアス(24歳)と共に執筆。プロデューサーは前作と同様、フィニアスが単独で務めました。
コロナ禍の期間中に自分の内側と向き合ったことが、本作の最大のインスピレーションになったといいます。 デビュー作で一気にスターダムを駆け上がったこと。それに伴って感じた日常の生きづらさ、軋轢、人間関係の煩わしさなどが表現されています。
アイリッシュはデビュー初年度の2020年のグラミー賞で主要4部門を独占しました。シングルは「バッド・ガイ」での受賞でした。さらに2021年もシングル「エブリシング・アイ・ウォンテッド」でレコード賞を獲りました。2年連続のレコード賞は、U2(2001年と02年)以来の快挙でした。なお、アイリッシュは、2022年アカデミー賞で歌曲賞に輝いています。映画「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」主題歌での受賞でした。
日時 | スケジュール |
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選考対象の曲のリリース期限終了 | 2021年9月31日 |
ノミネート投票 | 2021年10月22日~11月5日 |
ノミネート発表 | 2021年11月24日(水)午前2時=日本時間 |
本投票 | 2021年12月6日~2022年1月5日 |
授賞式(結果発表) | 2022年4月4日(月)の昼間(日本時間) アメリカ東海岸時間: 2022年4月3日(日)午後8:00~11:30 |