2019年(第61回)のグラミー賞の結果の一覧です。 ラッパー兼俳優のチャイルディッシュ・ガンビーノが米国の暴力文化を批判した曲「This is America(ジス・イズ・アメリカ)」で、 最優秀レコード賞と楽曲賞をダブル受賞しました。 ラップの曲がレコード賞を獲得するのは史上初めて。 楽曲賞でも初めての快挙です。 ラップ音楽がニューヨークで誕生してから約半世紀。 歴史的な転換点となりました。さらに、This is Americaの音楽ビデオ(MV)を制作した日本人ヒロ・ムライ監督も、最優秀ビデオ賞を獲得しました。
ラップ(ヒップホップ)はこれまで、グラミー賞の主要部門で冷遇されてきました。 ノミネートはされるものの、受賞はポップやソウル、ロック、カントリーなど他のジャンルのアーティストにもっていかれました。 エミネム、ジェイZ、カニエ・ウェストら多くの名曲を生んだ大物ラッパーも、主要部門の受賞には至っていません。 2004年にアウトキャストが最優秀アルバム賞を獲りましたが、有力視されていたシングル部門は逃しました。 こうした不公平な状況をふまえ、グラミー賞はここ数年、投票制度の改革に取り組んできており、 今回の結果はその成果ともいえます。
一方、最優秀アルバム賞は、カントリー女性歌手ケイシー・マスグレイヴスの「ゴールデン・アワー」が受賞しました。 幅広い音楽ファンに称賛された名盤で、事前予想でも有力視されていました。 また、不振のロック界の救世主として期待される新人バンド、グレタ・ヴァン・フリートはロックアルバム賞を獲りました。(アワード・ウォッチ編集部)
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
レコード賞 |
チャイルディッシュ・ガンビーノ (Childish Gambino) 「ジス・イズ・アメリカ」 (This is America) 動画→ 試聴(Amazon)→ |
|
アルバム賞 |
ケイシー・マスグレイヴス (Kacey Musgraves) 「ゴールデン・アワー」 (Golden Hour) 試聴(Amazon)→ |
|
楽曲賞 |
チャイルディッシュ・ガンビーノ (Childish Gambino) 「ジス・イズ・アメリカ」 (This is America) (作詞・作曲:チャイルディッシュ・ガンビーノ、ルドウィグ・ゴランソン) 動画→ 試聴(Amazon)→ |
|
新人賞 |
デュア・リパ (Dua Lipa) デビューアルバム試聴(Amazon)→ |
|
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
最優秀ポップ・アルバム賞(ボーカル) |
アリアナ・グランデ 「Sweetener」 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
最優秀ポップ・パフォーマンス賞(グループ/デュオ) |
レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパー
(Lady Gaga and Bradley Cooper) 「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」 (Shallow) 動画→ 試聴(Amazon)→ |
|
最優秀ポップ・パフォーマンス賞(ソロ) |
レディー・ガガ 「Joanne (Where Do You Think You're Goin'?)」 動画→ |
|
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
最優秀ロック・アルバム賞 |
グレタ・ヴァン・フリート (Greta Van Fleet) 「From The Fires」 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
最優秀ロック楽曲賞 |
セイント・ヴィンセント 「Masseduction」 動画→ |
歴代の結果→ |
最優秀ロック・パフォーマンス賞 |
クリス・コーネル 「When Bad Does Good」 動画→ |
歴代の結果→ |
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
最優秀ラップ・アルバム賞 |
カーディB (Cardi B) 「Invasion of Privacy」 (インベージョン・オブ・プライバシー) 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
最優秀ラップ楽曲賞 |
ドレイク (Drake) 「ゴッズ・プラン」 (God's Plan) 動画→ 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
最優秀ラップ・パフォーマンス賞 |
ケンドリック・ラマー、ジェイ・ロック、フューチャー&ジェイムス・ブレイク 「King's Dead」 動画→ |
|
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
最優秀R&Bアルバム賞 |
H.E.R.(ハー) 「H.E.R.」 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
最優秀R&Bソング賞 |
エラ・メイ (Ella Mai) 「ブード・アップ」 (Boo'd Up) 動画→ 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
ジャズアルバム賞(インストゥルメンタル) |
ウェイン・ショーター・クアルテッド 「エマノン」 Amazon→ |
歴代の結果→ |
大規模ジャズ・アンサンブル・アルバム賞 |
ジョン・ダバーサ・ビッグバンド 「American Dreamers: Voices of Hope, Music of Freedom(アメリカン・ドリーマーズ)」 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
ジャズアルバム賞(ボーカル) |
セシル・マクロリン・サルバント 「The Window」 Amazon→ |
歴代の結果→ |
アドリブ賞(インプロバイズド賞) |
ジョン・デイバーザ 「Don't Fence Me In」 ~アルバム「American Dreamers: Voices of Hope, Music of Freedom」より 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
エレクトロニック/ダンス・アルバム賞~歴代 |
ジャスティス (Justice) 「Woman Worldwide」 (ウーマン・ワールドワイド) 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
レゲエアルバム賞 |
スティング&シャギー 「44/876」 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
ゴスペル楽曲・歌唱賞 |
トリー・ケリー ft カーク・フランクリン (Tori Kelly ft Kirk Franklin) 「Never Alone」 動画(ライブ)→ 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
部門 | 受賞 | ノミネート |
---|---|---|
カントリー・アルバム賞 |
ケイシー・マスグレイヴス (Kacey Musgraves) 「Golden Hour」 (ゴールデン・アワー) 試聴(Amazon)→ |
歴代の結果→ |
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
2019年の受賞者一覧( 主要4部門、 ポップ、 ロック、 ラップ、 R&B、 ジャズ、 テクノ/EDM、 レゲエ、 ゴスペル、 カントリー ) | 2021年→ | 2020年→ | 2018年→ | トップページ(歴代の結果)→ | 歴代の日本人受賞者→
今回から「レコード賞」「アルバム賞」「楽曲賞」「新人賞」の主要4部門のノミネート枠が従来の「5」から「8」に拡大しました。最優秀レコード賞には、銃社会を風刺したチャイルディッシュ・ガンビーノの「This is America」のほか、レディー・ガガの映画主題歌「シャロウ~『アリー/ スター誕生』愛のうた」、ドレイクの「ゴッズ・プラン」、カーディBの「アイ・ライク・イット」などのヒット曲が順当に候補入りしました。このうち「シャロウ」と「This is America」の受賞争いを予想する声が多いです。楽曲賞でも、「シャロウ」と「This is America」の受賞が有力視されています。
最優秀アルバム賞では、ケンドリック・ラマーによる映画「ブラックパンサー」サントラのほか、ドレイク、カーディBという著名ラッパーのアルバム3作がノミネート。 このうち近年の業績が輝かしいケンドリック・ラマーを本命視する声が強いです。 一方、カントリー歌手ケイシー・マスグレイヴスの「ゴールデン・アワー」も有力候補の一角と見られています。 ローリングストーン誌やアップルから2018年ベストアルバムに選ばれており、 ラップ(ヒップホップ)が苦手なシニア層の票が集まれば有利かも知れません。
あまり一般に知られていない女性フォーク歌手ブランディ・カーライルが、主要3部門すべてにノミネートされました。 入選曲の「ザ・ジョーク」は、 なんと米国チャートの100位以内にも入らなかった曲です。 ノミネート枠拡大の影響を感じさせるサプライズとなりました。 メロディアスな名曲でメッセージ性も高いので、台風の目になるかも知れません。(アワードウォッチ編集部)
「最優秀レコード賞」と「最優秀楽曲賞」のノミネートの事前予想です(2018年10月時点)。 有力候補をYoutube(ユーチューブ)の動画のとともに紹介します。 最優秀レコード賞はアーティストら制作者を称える賞です。最優秀楽曲賞は作詞・作曲をした人を称える賞です。
曲名 | アーティスト | 解説 |
---|---|---|
「ディス・イズ・アメリカ」 (This is America) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
チャイルディッシュ・ガンビーノ (Childish Gambino) |
アメリカの銃社会の凶暴さを訴えた曲。 ガンビーノが銃で人を殺しまくす凶暴なミュージックビデオが話題となりました。 2018年のグラミーで、バンビーノはアルバム賞とレコード賞にノミネートされるという予想外の大健闘を見せました。 今回の新作も、評論家と一般ファンの両方から熱烈に支持されています。 ただ、ビデオの映像が暴力的過ぎるとして、一部のグラミー会員から敬遠される可能性もある。 |
「ゴッズ・プラン」 (God's Plan) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
ドレイク (Drake) |
2018年に3曲の全米1位を放ち、大活躍したドレイク。 中でもこのGod's Planは15週連続1位になった。 ポップなラップ曲。 |
「アイ・ライク・イット」 (I Like It) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
カーディB、バッド・バニー、Jバルビン (Cardi B, Bad Bunny & J Balvin) |
2018年に最も活躍した女性ミュージシャンは、アメリカのラップ歌手カーディBと言われている。 4月に発売したデビューアルバム「Invasion of Privacy」が大ヒット。 シングルカットされたこの曲も世界的に売れた。 サルサの音とリズムを取り入れ、ラテン音楽のジャンルの一つ「ラテン・トラップ」の勢いを象徴する曲になっている。 バッド・バニー(プエルトリコ出身)、Jバルビン(コロンビア出身)とともに、時代をリードする3人の共演。 |
「パーフェクト」 (Perfect Duet) 試聴(Amazon)→ 動画(音のみ→) |
エド・シーラン、ビヨンセ (Ed Sheeran with Beyonce) |
前年の2018年のグラミー賞でレコード賞などの受賞が有力視されていたがエド・シーラン。 ところが、ふたを開けてみると主要部門に一つもノミネートされず、音楽業界が大騒ぎとなりました。 「エド・シーランはどうせノミネートされるだろうから、別の人に投票しておこう」と考えた投票者(グラミー会員)が多かったせいだとも言われています。 前年の埋め合わせとして、2019年はノミネートされる可能性があります。 幸いなことに、ビヨンセとデュエットした「パーフェクト」のシングルは、 2017年12月1日にリリースされています。 このため、今回のグラミー賞の選考対象になります。 「去年はごめんなさい」と言って投票する人もいるのではないでしょうか。 |
「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」 (No Tears Left to Cry) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
アリアナ・グランデ (Ariana Grande) |
アメリカ国民に愛されている歌手アリアナ・グランデ。 彼女のシンガーとして、そして音楽家としての成長を示す曲として称賛されたのが、2018年4月に発売された「No Tears Left to Cry」です。 自身のコンサートの開演中に起きた「英マンチェスター自爆テロ事件」(2017年5月)。そのショックと悲しみから曲作りに乗り出せなかったといいます。 ようやくスタジオに戻り、プロデューサーらとともに「希望と慰めをもたらす曲」として綴ったのが本作。 「ビートとコーラスで、憎しみ(ヘイト)と悲劇を打ち負かす歌」として、評論家や音楽メディアから厚い支持を得ました。 商業的にも世界中で大ヒット。 アリアナはこれまで4回ノミネートされていますが、受賞はありません。 初の栄冠なるか、注目されます。 |
「フィネス」 (Finesse) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
ブルーノ・マーズ ft カーディ・B (Bruno Mars ft. Cardi B) |
2018年のグラミー賞で主要部門を独占したブルーノ・マーズ。 受賞アルバム「24Kマジック」から、2018年1月リリースされたシングル「フィネス」も大ヒットしました。 勢いに乗っている女性ラッパー、カーディBとのコラボとなっており、まだ新鮮さがあります。 ブルーノ自身もこの曲も、黒人から白人まで幅広い層に愛されており、けっこう票を集めそうです。 |
「ワン・キス」 (One Kiss) 動画→ |
カルビン・ハリス&デュア・リパ (Calvin Harris, Dua Lipa) |
ハウス・ミュージックから生まれた傑作。 1990年代のクラブ音楽の要素が取り込まれている。 英国人歌手デュア・リパの歌唱力も高く評価されている。 世界的な大ヒットとなった。 |
「ガールズ・ライク・ユー」 (Girls Like You) 動画→ |
マルーン5 & カーディB (Maroon 5 and Cardi B) |
グラミーが好きな親しみやすいバラード。 公式PVの影響もあり、女性を讃える歌と受け止められている。 「Me Too」ムーブメントや政界での女性の躍進の流れと合致しており、票を集めやすい。 2018年に目覚ましい活躍をしたカーディBが参加していることも追い風か。 |
「メント・トゥ・ビー」 (Meant to Be) 試聴(Amazon)→ 動画→ |
ビービー・レクサ ft フロリダ・ジョージア・ライン (Bebe Rexha ft. Florida Georgia Line) |
2018年のカントリー・ソングの中で最も幅広い層に好かれた曲です。 グラミーの中でカントリー関係者は一定の人数を占めており、票が集まったときに大きなパワーを発揮すると言われています。 ただ、メインで歌っているビービー・レクサはカントリー歌手ではないですが、 作曲家としても活躍しており、実力は業界で認められています。 |
「デリケート」 (Delicate) 動画→ |
テイラー・スウィフト (Taylor Swift) |
強力なインパクトはないが「じわじわと心に響く曲」として親しまれた。 3月にシングル発売され、長期にわたってヒットした。 アルバム「レピュテーション」からの6枚目のシングル。 |